Bostonより 髙木季代

2018
01.15

山口大学第3内科からアメリカ・ボストンにあるJoslin Diabetes Centerへ留学させていただいた医学科3年の髙木季代です。今回は私の留学生活を少し紹介したいと思います。

 

【研究面について】

研究テーマは「肝臓におけるIGFBP2の機能探索」です。Bariatric Surgeryという肥満改善のための外科手術があるのですが、この手術は肥満だけでなく糖尿病や高血圧といった代謝疾患の改善にも効果がみられます。IGFBP2はこの手術によって2型糖尿病が改善された患者さんで発現量が上がっていた遺伝子のひとつで、私たちは特に発現量が高い肝臓での働きを探ることにしました。私は日本にいるときに肥満外科手術のことをよく知らなかったのですが、アメリカではこの手術が高度の肥満かつメタボリックシンドロームのある患者さんに対して頻繁に行われています。一般の人に研究テーマをお話しすると「私の知り合いにも手術した人がいるよ〜」という反応が返ってくるくらい認知度が高い手術です。アメリカならではの研究テーマに携わらせていただき、とても興味を持って取り組むことができました。

 

研究室には平日朝9時くらいから夕方5〜6時までいましたが、マウスのbreeding中は朝7時半にラボへ行くこともありました。ラボのメンバーは12、3人前後で、テーマは大きく2つありました。1つ目は母体低栄養とエピジェネティクスに関する研究、2つ目は私が携わっていたBariatric Surgeryに関する代謝の研究です。また、留学中は併設するJoslin Clinicの臨床見学もさせていただきました。患者さん1人に30分かける丁寧な診察で、診察のほか栄養指導やインスリンポンプの講習会にも参加させていただきました。

 

Joslinでは実験以外にもミーティングやランチセミナー、ハロウィンやHolidayイベントなどが盛んに行われており、同じラボ以外の人とも仲良くなることができました。Joslinがあるエリアにはほかの研究所や病院も多く、研究・臨床の双方において他施設と協力することがよくあります。これは「個々の専門性を活かしチームワークで仕事を成し得る」というアメリカの物事の考え方をうまく反映しているケースだと思いました。

 

 

【生活面について】

私はJoslinから歩いて30分くらいのおうちにホームステイをしていました。ご夫婦のホストファミリーは長年に渡り留学生を受け入れており、私のほかに入れ替わりがありつつタイ人、イタリア人、インド人、サウジアラビア人の留学生がいて、とても楽しく過ごすことができました。休日は一緒に観光に出かけたり、おうちでバーベキューやThanksgiving dinnerを楽しんだり、日常ではAmerican jokeなどのアメリカ文化や政治、宗教、英語などたくさんのことを教えてもらいました。ホームステイだと楽しい事を共有できるのはもちろん、困った時にも気軽に相談できるのが良かったです。

 

休日は観光もたくさんしましたし、他にボストン日本人研究者交流会や朝の会にも参加しました。これはボストンに住んでいる日本人研究者が定期的に集まり研究の話をするというものです。自分の研究以外のお話を聞けるのでとても視野が広がりました。また将来についても考える良いきっかけとなりました。

 

留学はお金も準備期間もかかり大変そう、面倒くさいと思う人もいるかもしれませんが、得られる経験はそれ以上ですし、人間関係も視野も格段に広がるので少しでも行きたい気持ちがあるのであれば挑戦することをオススメします!金銭面においては、現在は「トビタテ!留学Japan」をはじめ留学に対する奨学金が充実しているのでなんとかなると思います。英語に関しても、私はもともと話せたわけではありませんし、留学を経た今でもまだまだだと思っていますがなんとかなるものです。不安にめげず、ぜひ一歩を踏み出してみてください!!

 

最後に、送り出して下さった谷澤先生および第3内科の皆様、留学先のPatti先生およびPatti labの皆様、留学をサポートしてくださったすべての皆様に大変感謝しております。ありがとうございました。

 

【Patti先生と実験を教えてくれたポスドクのYixing】

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【Team Gastric bypass】

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【ホームステイ先でBBQ!】

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【Charles Riverでカヤック】

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